愛しているなら、キスを下さい

背中は威圧 顔を見せない威圧 触れることの叶わない 絶対的な隔絶 目を合わせないのは 後ろめたい感情があるから あぁそうだよ すべては貴女の思うがままに 縋る糸なんて 先がなかった 元より糸には先がない 握ったもので安心していた ねえもしも まだ貴女が…

『影絵・暗い指数』

手影で描いた鳩が 障子の空を飛んでいく 遠ざかる影に伸ばした手は 解れた繊維を破くばかりで いつぞやの虚像を 今日までずっと抱き留めて 明日もずっと抱きしめて いつかはすっと抱き崩して そのままざっと泣き崩れて 白い窒素が揺れる胸が 安易な熱を求め…

『瀑布』

穿て 幾度も 幾度も 幾度も穿て 愛を 怒りを 激情を以て穿て 堅固な妄執を 幾多の時を経て 柔和な指向へと 変じさせることを願い 穿て 幾度も 幾度も 幾度も穿て

永劫に殉じて

千切れた両腕が爆ぜて夜空を彩る花火になる 首から上を無くしたまま歌う亡霊 「さよなら」と共に背を裂く捻れた羽 燃えさかる炎は全て炭どころか灰塵に変える 天使は浄化を笑い 悪魔は不浄に怒る

『グッバイマイセルフ』

例えるなら躊躇0の刺殺劇 見る必要性を問うて説く 数学者は一つの答えから幾つ 経過(プロセス)が出来るか競う振動数計測 あの震えるガ(或いはグ)ラスのように 先の見えない黒髭 喜ぶのはサディスティックワールド。惑えよ未来 憂えよ今生 そうして光を生み…

何処唄

歌え 天へと届け 酔ったようにふらふらと揺られ はらはらと布をはためかせながら 子瓜、獣、虫は今何処か 私の身を喰らうのなら 骨すら残さず平らげよ それで繋ぐのならば 命の歌よ それで繋ぐのならば 命の在処よ 歌え 遠く響かせ歌え 音と恩を違えて 涙は…

『いらない』

いらない 鼓膜も 三半規管も 拙い指も 痺れた腕も 仲良しな足の指も 暴力的な脚も 鈍い舌も 声帯も 虹彩も いらない 何もいらない

『言えなくなった言葉達に』

差別という言葉を禁止したら どれだけ気が楽になったことだろうめくらましか めくらがましかだけど罪は此処にはない 六弦と四弦と鼓の銃は ゼロワンで耳元で 今日も無罪を叫んでいる握る指を そのまま切り落とせたら

テーマ『Where we belohg?』

指の先から削ぎ落として 口を開いて強請(ねだ)るのか 先と続きばかりがまた現れては 昨日って何だっけ?微睡み沈降、吐瀉物の湯で 気付けば我が身もフュージョン中 それでも臭いと叫ぶのさ 臭いと叫ぶのさ光は白色灯 近すぎて皮膚爛れた 眩しくて目が焼けた …

夏の終わり

弾けた線香花火の音が イヤホン越しに聞こえた気がした そろそろ自然と指先が 痺れ始める季節なのにね 今一度問いかけるのは自分 このままで良いのかと 涙ながらに返すのも自分 ただ悔いることだけしか出来ない この涙を 誰が受け止められるのか 甘えん坊の…

『狂人』

グッバイテレビジョン グッバイペーパーズ 電波塔が折られていくよ 流言に満ちたインフォに圧され 正義の味方は悪のコスプレ 剥いで捌いてばら蒔いて 眺めた鏡をかち割って 破片で裂いてしまいたい 言う人守らぬ人権に 高値をつけて売り渡せ そいつを消して…

『反位相中毒』

血よりも黒く暗い緋の瞳に 誘われながら幾度拒まれて 何も当たらない代わりに 存在無い存在接触 引きずり回し突っ込んで 反位相中毒 どこにも居ない自分が好き 遍在的傾向 どこかにいる自分を探そうか そしてまた手にかけようか 青と水色を混ぜた地面に腰掛…

嗜虐的に媚びてみようか

嗜虐的に媚びてみようか 打たれ慣れた傷に心地よく 風に散る体を刃に変えて 気の向くままに切り裂いてみるの 被虐主義の貴方なら きっと気に入るでしょ? ねぇもっと赤く染まろう? ねぇもっと熱くなろう? 太陽が嫉妬して私達を 芯に変えてしまうまで 痛め…

貫けない一

愛が単調すぎたから 少しばらしてみたんだ 心を受けるだけでは まだ何かが足りない 八分音符折って のんびり過ごしたかった 貫く力がない以上 ただの小休止 反響の声聞いては 幸せはこれかと首を振った 貫く力がなくて 辛さに一が刺せないんだ 一はどこへ投…

のんたいとる

嫌悪を抱けることが それもまた罪ならば 咎を抱いたまま水面下に 仇花を浮かべよう 無数に そう無数に 断片を噛み砕いて 塵に還して 還して 在処を還して

Deathtiny

背越しに電車のスリル感 U'did?の根拠無き言動 青写真を白く染めようか 青写真を白く染めようか 腕を出せば切れるかな? 脚を出せば取れるかな? 頭を出せば壊れるかな? 遠景蜃気楼 視覚の四角の死角に刺客 hate対象即ちP'ple 根拠測定不能 luckのlackはど…

『嘘つき、夢沿いに乞いて』

袖から漏れた無数の星を 無造作に天にばら蒔いて 眠気の導くままに盲 ライトレス2ライトフル ブライトネスなダークネス 風と空気を織り混ぜて 紡いだナイフでリストカット 道化を好む吸血鬼に 甲高い声で哭いてもらおう 雨降り、雨降り 執拗な愛を授け授け …

『凶器』

安易な破裂音が 執拗に閉ざした 瓦礫降る道を 宝降る道を 「投げ捨ててしまえば きっと楽になれるよ」 ノイズの反響 四面八面 十七分割 Zを執拗に背に描いて 背に描いて 今一度背に描いて 描いて 背に描いて

『桟橋を歩こう』

桟橋を歩こう 下を向いて歩こう 落ちて流れた先に 何があるか思いを馳せながら 一足毎に 軋む木の板 桟橋を歩こう 上を向いて歩こう 手の届かない空に 諦めの目を向けながら 一足毎に 軋む木の板 桟橋を歩こう 前を向かないで歩こう ―――――――――――――― 役立たず…

凱旋の街

遠見 近見 また遠見 誰か遠雷を 誰か誰か遠雷を 師根と一言 ニーズヘッグは ユグドラシルを腐らせるだけ 誰か遠雷を 誰か誰か遠雷を

最果ての空

剰りにも 明るすぎた 剰りにも 暗すぎた 嘆くような 言葉を 幾度となく重ね 手を伸ばしては また引っ込めて 誰か 誰か救いの手を ハローハロー この声が聞こえるなら 誰か救いの手を ハローハロー

盲目の兵士

盲目の兵士が 銃を構え歩く どちらに向けた銃口に ピントを絞る力はなくて ただ射線上 ただ直線上 当たるものを破壊せんとするのみ けれど決して 引き金は引かない 引いたときに 命はないのだから

一日一景

『ぼのぼの』 まだぼくが 白かったあのとき 炊飯器からは 白いゆげが立ち上って 味噌のかおりが 鼻をくすぐって エプロンをつけた 母が台所にいた あたたかな 音楽がきこえて あたたかな 話がおわって あたたかな 声がひびく 多幸な日々に 焦がれを抱く今

一日一景

『そらをとぶゆめ』 空を飛ぶ夢を見た 鳥の隙間を縫うように 空へと向かう体 翼なんて無くて エンジンなんか無くて でも風は吹いていた 腕を広げたら 動きが鈍る そのままそのまま 瞳を閉じて そしたら 星になれるから ただし 瞳を閉じたら 目を開いちゃ駄目…

企画:一日一景

『誰そ彼』 昼過ぎに 影しかない人に出会った 身ぶり手振りで 知り合いらしかったけど 僕には誰だか分からない 駅前歩道の 影達の宴 僕の前では止まらない 止まった側から進んでいく 音の無い世界 光が何も 僕らに伝えなくなった世界 斜陽の刻に 影の持ち主…

『無』

時として湧く殺意は 業深きものの 積み重ねた罪よりも高く 軽薄なる嘘ごと 殺める事を望む 世界は一度滅びるべきだ 闇に覆われることはない 光で満たされることもない 全ては無に還るのみ 笑顔も必要ない 本能のまま荒れ狂えばいい 所詮全ては動物 人など何…

世界凱旋

世界凱旋 ずらり電波塔 アンテナ翳しさぁ行こう パラボラ向けてさぁ行こう 出会い大成 成就願望で アンテナ翳しさぁ行こう 疾風の如くさぁ行こう エスカレータの負けフラグ 二段越しして追い越した 華やかで果敢なげな風の色 階段伝いに追い越した 命短し 恋…

『電子現実とノイズの衝突』

裂いた耳に無反響 風のニンフが嘆けども ゴブリン達の掠れ嘲り 遮り溶けた ウーハー積んだ車内音 心臓と化すスイッチオン 三倍速で募る怒りを 突いて飛ばす 蹲って、蹲って 聞きたいものを掌に 耳塞ぎ鬱ぎ小一時間 曇り空はまだ曇りのまま 目を瞑って、目を…

『Vampire』

牙を埋めて 私と貴女を 取り替えっこ 契る声は一つ 取り囲む歓喜に 心を踊らせ 開いた瞳を潤ませ 血に濡れた唇を 軽く拭っては 契り続ける貴女の 色褪せた唇に そっと触れ合う 抱き合いましょう 涙が涸れるまで 命を止めるまで 過ごしましょう 記憶が褪せる…

ときまつり

水音を背に 絨毯を眺め 一掬い 飛蝗が遠くへ逃げていく。 追いかけもしないで 風の気配 轟音の側を 電車が遠くへ駆けていく。 光に手を伸ばす。 影に背中をつける。 眩しいのは分かるのに 暗いのは分からない。 影が入れ替わるまで 立ち尽くした草野原 円に…