『LunarLune』


古めかしいラジオの
アンテナを月に向け
周波数を合わせたら
響く外れた声


『Let's Play da game.
捜し物を見つけに行こう。
電波の届く限り
遠くに』


数字が全て変わる日
太陽は月に出逢う
縋り付いた糸は
鼓膜をまた焼いた


蒼き月の地で
はぐれ兎は
祈りの手を引かれ
星に落ちる


幾多の星を眺めて
「戦を欲したのは何故?」
電波に乗せた声は呟く


ペンタに縋る者らは
'紋章'の居場所を追う
影に輪郭を失いながら


赫き月の孤高は
信ありて動くまま
裏を切る


『もしかしてとか
さもありなんだとか
先ばかり見つめたhidden
前科忘れ』


白き月の涙
地に咲く王冠の花
命を誰が摘めやするのだろうか

碧の月にて
蜥蜴は言う
全て燃やしたとして
無になることはない


知恵稔らす果実さえ
熟れてはまた地に落ちる
時戻せる針など無いから


欠けゆく世界を駆けて
光と影の不毛な
存在論の帰結(こたえ)を探せ


幾多の星を眺めて
「戦を欲したのは何故?」
電波に乗せた声は呟く


在りし地の月を重ね
見える光の行く末を
ノイズ混じりに声は謳う


『周波数だけが繋ぐかの地を
誰もが'楽園'だと告げた
鍵となる'紋章'を得た者だけ
住まうかの地を――』