エスケ

どこか、その1の1

かつてフランスでは、トイレを『溜め息の小道』と呼んだという。予想は出来ると思うが、男性諸君は自らのトイレシーンを想像してもらえれば分かりやすいかと思われる、あの感覚がそう呼ばしめたのだろう。 何故そんな話をしたかと言うと――。 「「はぁぁ〜〜……

どこか、その1の1

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 宿に帰るとすぐ、天人は晩飯の用意を始めた。エプロン(魔美製。中央部に二人の顔のアップリケが入っている)を締め、三角巾を頭に巻いて調理場に一人立つ姿は、どこか専業主夫の哀愁を感じずにもいられないが、金髪・長身・細くも引き締まった…

どこか、その1の1

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 当然と言うかなんと言うか、亜情魔美と言う名は、偽名である。 また意外なことに、勅使ヶ原天人と言う名もまた、偽名である。 そもそも二人は人間ではない。 二人は、悪魔と天使なのだ。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 魔素吸収後、二人は食事することにした…

どこか、その1の1

そもそも奇妙なものだな、と二輪運転中の天人は、魔美に抱きつかれながら思う。絶対結ばれることはないだろう、そう言われる者同士が、こうして一緒に婚前旅行にいそしんでいる。他人から見たら奇妙だろうが、当人達からしたら至って自然なこと。だがあの日…

どこか、その1の1

『行方不明な街』 蒼い空。 えぇ、蒼い空。 雲一つ無い。これを快晴と言わずして何を快晴の定義と為すのかと言いたくなるほどの、真夏の蒼い空。 天を支配する太陽が邪魔者を押し退けて優越感に浸っているその下で、どれだけの生物がその恩恵を意識無意識の…

エスケープ・ジャーニー!〜Escape Journey!〜

プロローグ