『影絵・暗い指数』


手影で描いた鳩が
障子の空を飛んでいく
遠ざかる影に伸ばした手は
解れた繊維を破くばかりで


いつぞやの虚像を
今日までずっと抱き留めて
明日もずっと抱きしめて
いつかはすっと抱き崩して
そのままざっと泣き崩れて


白い窒素が揺れる胸が
安易な熱を求めてさまよう
影絵の鳩に手を伸ばす
繊維に触れてまた涙


もつれた足は無惨に切れた
細胞達が事切れた