空言

後書きに代えて座談会

Taja!!(←挨拶) かなりの久しぶりです、猫山です。 思えば去年の11月から書き進めていたのに、完成が今。お待たせして申し訳ないと言うか何と言うか――。 ??「だったらとっとと筆力上げやがれこの変態作家!」 あ、リルじゃん。やっほ〜。 リル「いきなり略す…

空言の海〜The sea of self-distrust〜8

――――― 'ここからの話は、言い訳に聞こえるかもしれないけど、取り乱さないで聞いて欲しい' しばらく静寂が続いた後、『私』は、'私'に向き直ると、真剣な顔をして問掛けた。 '私'は―――深呼吸をして、頷いた。 '貴女ができるきっかけになったのは、私よ' '私'…

空言の海〜The sea of self-distrust〜7

――――― ノイズの響く浜辺に二人座ると、『私』は話し始めた。 '心って、何処から産まれてくると思う?心………っていうより、精神、って言った方がいいかも。 知らない?' '私'は首を縦に振る。それを受けて彼女は続ける。 'まぁ当たり前だよね。人間産まれた時…

空言の海〜The sea of self-distrust〜6

―――――――― そして'私'は、気付けばまた砂浜にいた。 あまりに広大で、海が見えない『空言の海』の砂浜。 先程の雨で、崩れてしまった砂は、まるで壊れた卵のような形をしていた。当然、中には誰もいない。ただ盛り上がった砂があるだけだ。 触れても何も伝わ…

空言の海〜The sea of self-distrust〜5

――――― 『怒りの火山帯』から出た後、'私'は様々な感情を、ペースを早めて巡った。 急がなければ、という感情が'私'の脚を速めていた。 ここから先は、'私'の感情を、'私'と区別するために彼女と呼ぶ事にする。 コンクリートは冷徹だった。色の無い影だらけの…

空言の海〜The sea of self-distrust〜4

――――― '私'が正気を取り戻した時、そこにもう、草原の姿、形、痕跡は無かった。 空には、様々な色がマーブリング用の液のようにうねり合い、海中のヒカリゴケのような光沢で明滅している。 地面も、溶岩が一瞬で凍りつき、かと思うと氷が砕け砂になり、その…

空言の海〜The sea of self-distrust〜3

――――― 気付けば、'私'は草原が広がる空間に一人、身を置いていた。先ほどまでいたマスの地面を、そのまま立体化して、凹凸をつけて(とは言っても草原である以上はそこまで激しい凹凸ではないが)地平線の彼方まで広げたような、開放的な空間。空も清繚として…

空言の海〜The sea of self-distrust〜2

雨は相変わらずの小降りで、その雫は次々と砂に染み込んで消えていく。'私'の腕や体を透り抜ける事はないことから、この雨も狭間の存在なのだろう。 砂の墓標に染み込む雨。 一体この雨は何を表すのだろう? と、 突然'私'の心臓が跳ね上がった。命の危険を…

空言の海〜The sea of self-distrust〜1

空言、ドラム初フルコン記念に書いてみた。