Harmony and Lovely

『夜明け』


四方の闇に背を向け
向く目は内面
足を動かさなくても
逃げ出すことはできる


新月は何も映すことなく
密やかに上がり
密やかに沈む
全ての光を吸い込みながら


街灯が消えたとき
道など何処にも無いと知る
ただあるのは闇と
確証のない僕だけ


ヘッドライトが過ぎる
刹那、取り戻す自分
けれども虚像
掴んだものは紺色に溶ける


数刻後
あるいは針廻る?


薄らぐ紺は蒼
輪郭だらけの世界は
色のカケラを
その身に纏い始め


徐々に明るむ空
スペクトルの移り変わり
ココニイル僕の遥か背後で
置き去りにされていく闇


今日のこの日の今ならば
向き合える気がする
纏い闇を晴らせるのは
儚くてもいい心の日の出


逃げるのはもう
止めにしようと
思わせてくれる
闇を打ち消す光


さよなら
昨日の僕
おはよう
今日の僕