5.8.8.


『渡れなかった僕等は』


渡れなかった僕等は
遮断機が降りるのを
ただ待っているだけ


この先にあるのは
望むようなものじゃなく
寧ろその逆だと
持たされた手紙


石に彫(う)つ朱
黄泉告鳥は啼く


移り変わる景色
森はざわめく
薄らぐ斜陽は
隙間を縫って地に降り立つ


渡れなかった僕等は
ただ路傍の花に過ぎない
空き瓶に差された
幾本の花に