Sorrows


『Away in AM2:00』


閉めきれない蛇口から滴る
水の音で目を醒ました
波紋はどこまでも広がるばかり
そして戻ることはない
鎮まったとき
その場所には何もないから


誰も聞かない時を告げる
鐘が重々しく鳴る
静まった町に響く
歪さを重ねたレゾナンス
底を覗き込まれるように
微かな怯えが身を震わす


平行世界の残像
赤茶色の空
鏡対称
人を憂うのは
優しさからではない
それを考えると悲しいだけ


蛍のような仄かな光が
ゆらゆらと立ち上って
私の行く先を照らす
どこを示すわけでもなく
闇を晴らすわけでもなく
ただ光の粒を撒いているだけ


萌芽しない種を
乾いた大地に蒔いては
水を遣らずに
そのまま眺めている気分
不要感に浮揚する自我
埋没する自己存在


失せたものへの執着が
私を動かすのなら
今すぐ時を止めてほしい
時が戻らないならば
せめてあの時から遠ざからずに
せめてあの時から離れることなく