Tangerline Stream -The catastrophe-


『かつては都の遺跡にて』


栄華の名残
水面に映る石の壁
苔は水を伝って張り付く


絵本を読んでみようか
絵を重ね合わせれば
ありありと浮かぶ


何人の人がこの道を通り
何人の人がこの場所に住み
何人の人がこの場所を去ったのか

寂寥
寂寥、何処へ
飛ぶもの、白き影
英霊、名も無き霊


止まり居ることを願うも
止まらず何処へ逝ったのか


夕焼け、朱染めの湖
黄昏、過去の反照


ああ。
滅び逝く様は
どうしてこんなにも悲しく
――そして美しいのだろうな


滅び逝きし様は
どうしてこんなにも
人を惹くのだろうな


指擦り
手元で崩れた石壁
空へ還り飛んでいく