影遣い

第一話:電波塔の悪魔

「………な〜んか肌がピリピリするんだけど」 魔法生物は、物理攻撃を殆んど受け付けない代わりに、精神攻撃には敏感だ。モイは恐らく、ここに張られた対精霊用結界に反応しているのだろう。 「気にしたら敗けだ。大概の任務にこれは付きものだからな」 「ま〜…

第一話:電波塔の悪魔

どうして女と言う生物は、出かける準備にこうも多大な時間をかけるのだろうか?時計の分針が十五度ほど傾いてなお出る気配の無い我がパートナーに向けて、俺は本日何度目か分からない溜め息を聞かせた。 「………準備はできたか?」 これが家を空ける事になる心…

『影遣いの調停者』

現代世界に妖精、幻獣の類が出現するようになって数年。だがそれは、幻獣にとっても、人間にとっても、喜ばしくない結果をもたらした。 まず人間は、自らの欲の赴くままに幻獣達を狩り始めた。 リュンクスの石、ユニコーンの角は言うに及ばず、ドラゴンの牙…