雨空と携帯電話

雨降らす黒雲
やや肌寒い風
皮膚を爪でなぞりながら
消えてしまいそうな
自分の存在を
何とか保つ

ワイヤレスの絆
距離≒心の隙間
再度繰り返す呼び掛けは
電子音によって途切れ
温もりを感じるのは
熱せられた電池から

絶えてからいくつ
夜を過ごしたの?
日を増す毎に増えていく
「元気?今何してる?」
'不確かさ'が壊す
自分も、心も、愛も

それでも私は
貴方を愛して
この薄ら寒い曇天の中
むやみに震える指で
貴方の証を
貴方の居る証を
求め続ける