口の下には木が生える


いつの事かは知らないが、かつてこんな事件があったらしい。


『本屋で万引きをした少年を本屋の店員が追い掛けたところ、少年はバーの降りた踏み切りを強引に横切ろうとし、電車にひかれて死亡。
その後、店員の勤めていた本屋には、「人殺し」などといった世間からの圧力により、閉店に追い込まれた』


………何だこのエセ人道主義者共は。何だこの違法ヒューマニズムの集団は。
万引きを見付けたら咎めるなり捕まえるなりする義務が店員にはあり、その義務をただ全うしただけであるのに、そもそも万引きをした少年は自分からバーの降りきった踏み切りを越えたのであり、その点で少年の死は自業自得もいいところであるのに。万引きをした少年よりも、それを咎めた店員を咎めるとは。その咎めはつまり結局のところ、「万引きをしても追い掛けるな」と言っているのと同じではないか。事実関係から考えるとそうなるぞ。
一体この大人達は何に憤りを感じたのか。その少年は貧しさのあまり本すら買えない真に哀れむべき少年なのか(んなもんはアフリカに山のように存在しておるわ)、絶対違うだろう。恐らくはただ『欲しいから』『金がないから』『スリルがあるから』だろう。そこには義務も権利も存在しない。しかも窃盗は犯罪である。一方、店員が追ったのは仕事であり、それは店員としての義務である。更に犯罪に対して許さない姿勢と言うのは、一般人なら誰しも持ち合わせるべきものではないのか。
結果として、犯罪者である少年は自ら線路に飛び込み、そして自らひかれて死んだ。少年の親の感情など知ったことか。親に配慮して義務を果たしたものを責めるのでは、それでは法の意味がないだろう。


日本は、こんな国になってしまったのか。極端な命崇拝主義者が集まった一神教と言っても過言ではない宗教を信じている国。例えいかなる理由があってもそれを破るものには厳しい制裁が下るという衆愚国家に。