猿の経


『呆惑ラヂオ』


漏れ出ずる電波
〈ワレワレハコノチニアリテ〉


響く絵空事
はらはらと涙を流し
拝む者あり
〈アリガタャァ、アリガタャァァ〉


意図など知らず
〈ワレラヲセメルカノモノニテッスイヲ!〉


己の過去など知らず
己すら知らず
〈テッスイヲ!テッスイヲ!〉


徒に刃を握り
鉄片を埋め込み
〈コノウラミイカデカハラスベキカトトウ!〉


人々は
〈ミナゴロシダ!〉


鏡に向かい
ネコソギホロボシテシマエ!〉


吠える
〈メッサツダ!ギャクサツダ!ヒトリトシテイカシテカエスナ!〉


滅びて、しまえ