MAX300

『零距離射撃』


【開始は何時でも突然に】


乾いた音
巻き上がる砂利


壁に隠れながら
互いに隙を窺う


岩陰は弾け
岩壁を弾き


土煙と硝煙は
協奏曲を奏でる


【別の気配】


当たり馴れぬ殺気
打ちながら相手の背中を見る


黒服の群れ
素人の群れ
二人に恨みを持つ者達


【互いに笑みを浮かべ】


交差


【止まる時、そして】


跳弾
銃撃
互いに一つも当たらず
周りの的共に当たる


散弾銃は意味がない
狙いは外れるもの


機関銃の音は
我無き者共への弔歌


単発銃声が響く静寂の中
互いに狙う
零距離射撃


銃口は着く
互いの額に