その三


『″文学少女″シリーズ』


野村美月氏の作品は『うさ恋』を初めに読んだせいか、この作品のイラストが竹岡美穂だったことから、「東方ウィッチクラフト系の話かな?」と勝手に予測したりしていたのですが。


違いました。
初めてラノベ帯が嘘をつく事があると知りました。


コメディじゃないです、これ。
痛かったです。
そして同時に暖かかったです。


主人公は何事も無難に過ごそうとする少年、井上心葉。先輩の"文学少女"天野遠子に強引に文芸部に入部させられている彼は、ある日先輩命令で他の生徒のラブレターを代筆させられる事になる。だが、その相手は、後で調べたところ、数年前に死んでいたのだった………。


様々な本の名前(最近、また売り出したグレートギャツビーの名前もあり)とその簡単な感想も魅力の一つですが、何よりも人間同士のドラマ、関係性が、どうしようもなく心にキます。何と言うか、『遣り場のない』や『如何ともし難い』という言葉が似合う感情に溢れている、そんな気がしました。


純粋に、良作だと思いました。読んでから一ヶ月経ちましたが、いまだに印象深く、僕の中に残っています。


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ついでにこちらも紹介しときますか。


『うさ恋』


主人公の航平は口が荒いが根は善人。
ある日道端で汚れている兎を拾い、家で体を洗ってやっていたところ、何とその兎がスーパーナイーブうさ耳美少女に変身!
実はその少女――真雪――は、月のお姫様で、主人公は彼女と結婚しなければ地球が滅ぶことに!果たしてどうなることやら………。


所謂オチモノ系ボーイミーツガールの典型ですが、取り巻くキャラが私的には面白いです(笑)暴走しがちな護衛隊長、あまりに瓜二つな執事七名、世界支配を企む魔法使いのガキにビジネス思考の魔法使いのチビジャリ………。


傍観者の感情で笑えます(笑)