緑の風


『Decades』


十歳
友達と一緒に石を
鳥居に向けて投げて遊んだ


二十歳
成人になったと
確信するために鳥居をくぐった


三十歳
結ばれて五年経った後
また来ようと言った妻を待った


四十歳
子供達が遊ぶ
保護者として来て、気付けば一緒に遊んでた


五十歳
桜舞い落ちる中
竹馬の友と酒を交した


六十歳
自分に『お疲れ様』と
鳥居の近くで呟いた


七十歳
息子と娘とその孫と
鳥居の下で家族写真を撮った


八十歳
友の遺影の横
まだ生きている友と鳥居の側で思い出を語った


九十歳
最愛の妻を亡くし
その魂の無事を、鳥居の下で祈った


百歳
あの鳥居の下で
私は、静かに眠ることにした