Narcissus At Oasis


『四次元の桃源』


花弁
歩く度に
足を踏む毎に
舞う
腕を
手を
指先を


回ってみる
スカートがふわり
花弁を押し上げて
光差し溢れる花園
私の他に誰もいない
私と花の他に何もない


風が鳥を飛ばし
私に言ったんだ
もうすぐ皆が
やって来るって
嬉しさのあまり
駆け出した


断片的な赫の記憶
溢れる
脚から
腕から
手から
指先から


叫び声の残響
それらを全て
記憶の底に押し込めて
私は
飛び付いた


『おかえり』
影達はそう呟いた