世界をのぞむ家


『空が灰色に見えた日』


兄が無言で帰ってきた
僕は手を合わせて出迎えた


母は兄を抱き締めた
愛しそうに抱き締めた


父は兄を抱き締めた
泣きながら抱き締めた


兄はずっと無言だった
ただただ、ずっと無言だった


次の日、兄は出ていった
僕等はそれを見送った


ただただ、見送った


遠くに見えたのは
空へと上る、煙だけ