Presto


『永遠を生きる者』


庭園で踊りに耽る
貴族達を眺めながら


呪われし王子はテラスで
書物を読み耽っていた


遥か昔
邪神を封じた代償


隔絶し世代の長男は
不老不死の体を得る


人を知ることは
悲しみを知ることだ


息子への迫害を恐れた王は
息子に真実を告げ


『お前は人前に出ぬ方が良い』


息子は自ら申し出たことは
螺旋階段を指差し


『ならば我を封じよ!』


テラスから眺める風景は
刹那を生きるものの楽しみ


それならば
永遠を生きるものの楽しみを


時は沢山あるのだから


今宵も一人
楽しもうではないか


変化だらけの
変わり無き世界を


変わり無き
変化し続ける世界を