『電子生命体エンブリオ』
舞う蝶
0/1世界の覗き窓から
指先から姿を変える
空幻 それは蛹の如く
宵闇に糸を張る蜘蛛
草の影から窺う蟷螂
入り組んだ枝の隙間
灰水色の空間(ディメンジョン)
鐘が鳴る
朝を告げよと鐘が鳴る
昼を告げよと鐘が鳴る
夜を告げよと鐘が鳴る
プラットフォーム
発車の汽笛が響く
向かう先は知らない
来た場所も知らない
今確かな命があるとして
その命は何を思う
電子の海を漂い
残滓を食みて育つ者は
情報
そのどれもが空虚な味
エンブリオは
確かさを求めて
それは遠回しな自己探求