2.14.13


『電子生命体エンブリオ


舞う蝶
0/1世界の覗き窓から
指先から姿を変える
空幻 それは蛹の如く



宵闇に糸を張る蜘蛛
草の影から窺う蟷螂
入り組んだ枝の隙間
灰水色の空間(ディメンジョン)


鐘が鳴る
朝を告げよと鐘が鳴る
昼を告げよと鐘が鳴る
夜を告げよと鐘が鳴る


プラットフォーム
発車の汽笛が響く
向かう先は知らない
来た場所も知らない


今確かな命があるとして
その命は何を思う
電子の海を漂い
残滓を食みて育つ者は


情報
そのどれもが空虚な味
エンブリオ
確かさを求めて
それは遠回しな自己探求