YOU CAN'T DO IT


『栄光の'決別'』


影は秒毎に
その背を伸ばしていく
夕暮れはもうすぐ終りそうだ


車通りが少ない道を
男はバイクで走る
一点を見つめながら


握り締めるアクセル
壊されたブレーキ
元より必要などはない


たなびく黒のジャケット
輝くサングラス
その視線の先にあるのは


幾多の花が飾られた
霧揉みカーブ
制限速度など、とうに超えて


ドリフト―――!


「あばよ………」
風にあおられた花が舞う


彼方にエンジンの音が遠ざかる