猿の経


『民に告ぐ』


民よ!
貴公らは気付いているか!
我々の同胞(はらから)は
取るに足らぬ事からいがみ合い
俗世の虚光の犬と化し
軽薄たる極彩色に身を包み
黒き肉塊に変じている事を!


民よ!
貴公らは覚えているか!
我々の父母の生きし時代は
燃え盛る陽(ひ)に敬意を示し
注ぐ川を労り
信念を曲げぬ限り
互いを憎む事すら無かった事を!


民よ!
さぁ思い出すがいい!
我等は如何にあるべきか!
我等は如何にしてあるべきか!
手遅れになる前に!
故に我は民に告ぐのだ!