コンベア


理想を語る政治家(えらさま)の
リップクリームは百円未満
『物の価値は金が決める』と
何も知らない若者が叫ぶ


極彩色のミラーボール
ケバいだけの金のカーテン
群がるものは紙切れを
群がれぬものは愚痴を漏らす


コンベアの進む方へ
また歩みを進めているのさ
戻るなどと口に出しながら
留まって進んでいくのさ
僕らは


僕らが


目隠しに慣れた盲目の人は
開いた瞳を残照に焼かれ
目隠し外した人は皆
盲目の咎に見せしめの血を


崩れる大地を知っても人は
空の輝きに手を伸ばしては
手足を縛る枷を引きずり
己を救えと願うのみ


コンベアを動かす奴の
思いに皆はYesを言うのさ
Noと唱えた奴は異端と
目隠しのまま信じているのさ
僕らは


僕らが


コンベアが回る
回って進んでいく
進めていくよ
僕らが望んで望まない場所へ


コンベアは僕らを乗せ
知らぬ場所へと進ませていく
そこは楽園だろうなと
信じる気もなく信じているのさ
僕らは


僕らが!