『0の氷と1の女王』
中空楕円が
無数の長方スライスに
散って降り注いで
鈎付き棒が
意味の無い文字の羅列にから
意味を求めて寄り集まっていく
H.E.L.L.O.
温もりを求める冷たい声
H.A.P.P.Y.
確証を求める曖昧な声
長方交差して実像
すぐ後に虚像
また実像
虚像
H.E.L.L.O.
――挨拶は覚えたらしい
H.A.P.P.Y?
――幸せはまだ先に
浮かび上がるテクスチャを
悩ましげに撫でてみる
桜の季節には早いのに
桃色
心に刺さった氷片が
まだ抜けないのならば
いっそこの初々しき美しさのまま
永久に時を止めてしまおうか
虚無として消えるよりも
実像として年老いるよりも