『反位相中毒』


血よりも黒く暗い緋の瞳に
誘われながら幾度拒まれて
何も当たらない代わりに
存在無い存在接触
引きずり回し突っ込んで


反位相中毒
どこにも居ない自分が好き
遍在的傾向
どこかにいる自分を探そうか
そしてまた手にかけようか


青と水色を混ぜた地面に腰掛けて
茶と灰だらけの空を眺めてみよう
ベンゼンが苦手だから
いつも咳き込んでは涙目
灰のハイな塵の雨は痛い


共鳴単純線
二ヘルツ程ずらしてみて
音速境界線
ばらしてすれすれに破りたい
張り詰めた糸は斯く解れて


掠り傷のじわり感に被虐趣味
嗜虐趣味を満たす爪痕
いつでも病気な健康体を
薄ら笑いで持て余して
後頭部を踵で蹴って浮遊/落下


どうにも合わない焦点
悪化の裏返しを超感覚で
意味羅列を逆再生
掴めない
掴めた/掴めない