夏の終わり


弾けた線香花火の音が
イヤホン越しに聞こえた気がした
そろそろ自然と指先が
痺れ始める季節なのにね


今一度問いかけるのは自分
このままで良いのかと
涙ながらに返すのも自分
ただ悔いることだけしか出来ない


この涙を
誰が受け止められるのか
甘えん坊の大人が
事情のために流す涙を
自分可愛さに流す涙を


澄んだ空に星
オリオンをそろそろ探そうか
瞳は前にしか向かない
後ろを見ることが無為だった


今一度問いかけるのは自分
お前はそれで良いのか
刃を首に付けるのも自分
これで満足なんだろう


生きていて良いことなんて
あっただろうか
生きていて悪いことは
幾らでも見つかるというのに
探しても探しても
欠片は指をすり抜けていく


弾けた線香花火を
瞳の影が捉えた気がした
所詮良いことは
一つ時の幻に戻らない時を
ただ無為に嘆くだけのもの