ZETA〜素数の世界と超越者〜


『数の城とP』


灰褐色で塗り固められた壁
冷たき石の吐息
石畳から拾い上げたピース
鉤つきの棒『1』


てを逆に読んで『2』
柔かいEを逆向きにして『3』
城門の隙間に填め込んで出た
賽の対となる『5』


掛け合わせて増える数は
上に昇るけど先には進めない
足を緩め
水鏡にてヘを歪ませ『7』


数が哭く
もっと僕等を集めてくれ
僕等は一人
神の他にはボクラハヒトリ


突風が数を吹き付ける
均衡が
偽りの均衡が崩れていく
やがて現れる新たな均衡


触れた側から数が消えていく
いつの間にか石畳は消え
いつの間にか石壁が消え
光と闇が入り混じる場所へ


前は右上
後ろは下前
二歩進んで三歩下がり
七歩思うままに動いた先
(或いはそれすら入り口)


目の前の螺旋を登り
テロと不吉に果てなく
脅えた数『11』『13』を
音もなく抱き締めて


全て掛け合わせて
加えた『1』
『1』は全てを変化させ
また一人へと戻していく


仲間を求めるPの叫びに
幾度となく従っては
異端者の『1』は
孤独を求めそれを崩す
数で紡ぐ円環は続く