ミラージュ・レジデンス


『秒刻の平行世界』


ぱらぱらと降る
鏡の断片
腕を足を狙って


映すセカイはここじゃない
気付いて手を伸ばし
強く握りしめた


砕け散った鏡は
僕の回りを飛び回り
僕の居場所を変えていく


火山吹き上げる火のセカイ
突然割れた地面に
僕は飲み込まれ


深き水中の世界
勢いに逆らいながら
必死で空の光を目指し


風強き砂の世界
目の回りを手で覆い
竜巻の中を進み


黄昏の空の世界
雲の上から広がる場所を
ただ走り続け


雲の先端から落ちた先に
いくつもの時計
歪んでも回り
逆にも回り
そして止まらない


文字越しに見えたのは
それぞれのセカイ………?


………目を醒ますと
僕の目の前にあった
一枚の絵画


『僕等の世界のトナリにある
僕等の知らないセカイ』