Deep Clear Eyes


音ゲー詩の中では、二番目に気に入っている詩。




『Dear…』


慟哭、嗚咽、
大地に叩き付ける感情
吐く呪いの言葉で己を縛り


記憶、過去
それらは全て理想化されながら
心の中に居座る


どうしてだろう
もう逢えない事が
分かっているのに


どうしてだろう
初めからバッドエンドは
決まっていたと言うのに


何故と問うのは愚者の証明
されど問わずにはいられず
されど叫ばずにはいられず


どうしてこんなにも
愛しいのだろう
恋しいのだろう


人は大概にして
矛盾をその内に抱える
分かっていながらも
意味がないことなども
分かっていながらも
所詮は過去に浸るだけだとも


全ての出来事に
理由があるわけではない
しかし人は必然を騙る


全ての行動に
意味があるわけではない
しかし人は自浄を騙る


冷たい接吻(キス)の後
氷に抱擁
溶けて崩れたのは氷か僕か


……ああ
ああ何て
ああ何て澄んでいるのだろう


青にして藍
濃紺にして蒼
そして透き通る水色


夢の中での呼び声
逢えないと分かりつつも
さ迷い、さ迷い


上も下も右も左も
前も後ろすら分からぬ中
たゆたい、流され


泳ぎ
泳いで
泳ぎ疲れた岸で


貴女は微笑んだ
貴女が微笑んだ
そして僕等は


別れ(サヨナラ)のキスを交した


風がまた緑に変わる
積乱雲が遠のく
花火にはしゃぐ子供の声


潮騒
砂浜
何度も書いたハートマーク


アクアマリンの指輪
その片割れを
波に拐わせる


ターコイズのネックレス
それは今でも
写真立ての裏側の箱に


天に昇った
麦わら帽子


背を向けて
歩いていこう
君のいない世界を


君を無くした世界を