CaptivAte〜浄化〜

サントラ収録のlongを聞いて浮かんだ風景。
長いです。


ちなみに、この他にもCaptivAte〜浄化〜を基にして何作か書いてます。




『art-ifiθal deθ-tiny,deθ-truc-tiOn』


皹割れた大地が無辺に広がる
赤く燃える 空に鉄色の雲
ぽつり 落ちる 雨の雫は やがて滝となり全てを洗うだろう


大地に 所々ある 赤色の塊
その中に 一人の少女が
祈る姿勢のまま


嘆きは 花弁 涸れおちてなお 空を、地を、天を舞う
望みは 雪晶 留め置いても やがて消えゆく 空へ、地へ、天へ


響く金擦り音 荒い息音
片目は潰れ、片耳はもがれ、血は流れ
それでもなお


「あなたにあえて わたし 幸せだった…」
過去形は別れのしるし、訣別 永訣
灰を誘う 赫い、赫い月


「俺もだ おまえにあえて 本当に良かった…」
過去形は嘆きのしるし、詠嘆 嘆息
三歩も動けず 倒れ 響く



慟哭



地から天に向かうように突き立つ 赤黒い交差した二本の柱
赤色が雨で流れ落ち 見えてきた文字
『勇敢な戦士にこの「千騎長」の称号を与えん』


何の役にも立たないのに
何の役にも立ちはしないのに
何の役にも立ちはしなかっただろうに


一本の柱は重みで倒れ
もう一本は、その重みで折られて倒れた



人々のエゴで始まった戦争は
人々のエゴを巻き添えに終結した
全てを巻き込んで終結した


乾ききった 大地のように
涸れきった 大海原のように
'無生産'を 大量に生産して


逃げる場所など 消してしまったのに
それでも逃げ場所を探す者達
かつての指導者 エリートという名の無責任者ら


「自分だけは 生き残れるつもりでいたのかしら?」
また一つ 銃声が告げる 死出の旅立ち


祈る少女は 涙を流す
その凍てついた 瞼から
赫く染まる 小さな足へと


遥か遠く また響いた巨大な爆破音
「嵐が来るね すぐに避難しないと」
避難する場所なんて あるはずがないのに


全てを優しく包みこむ 闇が迫ってくる
まるで、光に誘われる蛾のように
ふらり ふらりと闇の方へと


「いつしか 雲が切れて 光が差すだろう」
そう信じていた なのに
そう信じていた だから


力尽きて 倒れ
体が冷えて 心が安らいでいく
その狭間に 見えた 最期に


大地を 僕らを 烙々と見下ろす 赫い月