終着駅まで


鳴る筈のない携帯抱いて
明けゆく街に欠伸をかます
視線と意識のベクトル
皆とは交わることはない


洋墨だらけの線を眺めて
何かしら事が浮かべばいいが
行き交うものは妄想ばかり
実を結ばない一人の思考


押し潰されそう
吐き出される前に
誰でもない誰かでもない
誰かだらけの場所にいて


終着駅まで
色のない景色を眺める
吊り広告には
怒りしか湧かないから


終着駅より一つ
前の駅で限界
削られていく存在に
もう耐えられないから


秒針が
進む