『空言の海』(音々)

電子音のノイズはまるで寄せては還す波のよう。人はそのノイズの中から産まれ、そして消えていくのでしょう。それが例え虚飾であっても。
その虚飾から逃げようと、精一杯作り上げた壁。自らを偽って、必要以上に強がって築いた、孤絶というシェルター。しかし全ては虚飾に過ぎず、やがてノイズの波によって削られていき………。


この曲を初めてゲームセンターで聞いたとき、僕は純粋に感動を覚えました。ポップン機体での一行紹介に『すっごく心が洗われる曲だよ』と、在る意味手抜きもいいコメントが書いてありましたが、曲を聞けば、あながち外れてもいない気もしました。


まず背後で鳴る鍵盤とストリング。さやかに流れる風のようにほんのりと、心に染み込んできます。
次にコード進行。中盤と間奏を除けばA→B→C♯m→A→E→G♯mという泣かせコードになっています。
さらにドラムの中盤の32分タム回しが、押し寄せる悲しみを表すかのようにドタドタと、儚く鳴り響きます。
そして何より、ボーカルの声質!(まぁ一部では拙いとか言われていますが)曲の独特な退廃的雰囲気にマッチしています。


これは余談ですが、PMカーニバルの時には、自分の選曲三位まで登りつめました。(一位はメガネロック、二位はピアノトロニカ)TOMOSUKE氏のアルバムに収録されているlongは、個人的には必聴です。


『重たい体をもてあまし
どこまでも行ける
自由を羨む波立つ戒』


Cocco鬼束ちひろ好きにはたまらない、そんな曲です。