2006-09-20 『秋初め』 詩 羽のもがれた蝉の死骸を 凉風に乗せて木陰に置いた 朝の月 見上げては 兎の影を探して 背に滲む汗が 日に日に引いていく 代わりに窓に付く結露 風が 絡み付きながら 腕を刺し 胸を刺し 早暮の闇 オリオンの勇士を 探し見上げる 星無き夜空 鈴虫の声 車の音に 掻き消されながらも 響く 鼻が少し痛くなって 月待ちの夜空に 僕は大きなくしゃみをした