『野廃る』


社会を斜め三十度
首を傾け眺めてみたって
見えた景色は何も変わらずに


道を定めず歩きながら
この世の不満をだらだら垂らす
全ては遠回しな自己批判


見え透いて切った
常套句すら
身繕いのためのテクスチャー
回し回して
辿り着く境地(きわ)は
虚構の虚無の現在進行


囚われ人は御方に叫べ
枷無し人は適地に進め
背中に見るべきものは何もない
中州の人は鎔(いがた)に填れ
高場の人は僻地を射抜け
断片画像に崩れる感傷
野廃る世、野廃る世


油に歪む窓硝子
拭き取る雑巾虹色にテカる
憧れも遠景も全て消し去る


偽りの白に持たれかかり
流れる人の顔色を拝見
表情は全てコピペされたもの


憂き世に向けた
常套句すら
打てば欠け崩れるスクリプト
正し正して
見えた境地(きわ)など
零夢の零下の顕在実証


嘲りし人は修羅場に晒せ
腸(はら)破(わ)りし人はくたばりたまえ
背中に価値ある物は何もない
裁かれし人は無駄話(むだば)を語れ
外されし人はスタバに通え
世界の畢竟、破壊を実証
野廃る世、野廃る世


(Rap)
既存の言論、ステレオタイプ
根拠曖昧な自説の宣告
外宣車掲げ大きく叫べば
出る音全てがノイズに変わる
個人の集団、集団は個人
古人の集団、集団は古人
故人の集団、集団は故人
正論事項など耳に入らぬわ!


見え透いて切った
常套句すら
身繕いのためのテクスチャー
咲いて咲かして
散った境地(きわ)など
退去退散の全体実行


囚われ人は御方に叫べ
枷無し人は適地に進め
背中に見るべきものは何もない
中州の人は鎔(いがた)に填れ
高場の人は僻地を射抜け
断片画像に崩れる感傷
野廃る世、野廃る世


野廃る世、野廃る世


振り返れど見るものなど何もない


野廃る世、野廃る世