のんたいとる


「例えば僕と君とが今こうして相対するきっかけがあるとして、人はそれを何と言う?」
「………偶然?」
「そう、偶然だ。偶然以上の何物でもない」
「………でも、それって冷たくない?」
「どうしてだ?偶然と言う言葉は冷血的意味など含まれてはいないが」
「………一切を退けてしまうから。………それに人は別の言葉で私達を語るでしょう」
「ほう。君にしては饒舌だ。して、その言葉は何だい?」
「………運命」
「運命………ね。そんなもの、偶然を都合良く組み合わせたものに過ぎないと言うのに」


《Makishima & Minim》