満月と僕


月は人を狂気に導く
もしこの陶酔を
人が狂いと呼ぶのならば
呼ばれるままで保ちたい


嘲るままに浴びようか
満月の夜のコンチェルト
色失せた星々を
蛍のように儚さ重ね


縛られた地面の下
知らず僕は手を伸ばしていた
何かを求めるように
水中で藻掻く人のように


救われるのは限られ
その中に僕の名前はない
知っても僕は
ただ想いに任せ
この夜空に手を伸ばす