終戦の鐘


平穏を告げる
終戦の鐘
心を蝕み切り裂いてく
足場を崩して
得た平穏は
次には脆く折れ


思索の果てに
得られる道は
折り重なって蛇腹を成す
時時計(ときどけい)達
均等に進む
それすら己の錯覚か


平穏を告げた
終戦の鐘
打算で再度鳴り出して
今足で立つ
この地面すら
実は夢跡の代物


雨催す雲
過ぎるを願う
その意さえ軽く踏みにじられ
岐の楔達
幾多に分かれ
惑わすは分かちし人々


平穏などない
終戦の鐘
鐘は所詮は鐘でしかない
今この場所で
まともに生きる
人などどこに居るのだろう?


無心にすがる人々
ただ抱えるだけで
己の全て投げ出してまで
己の全て捨て去ってまで


平穏などない
終戦の鐘
鐘は所詮は鐘でしかない
足場を崩して
得た平穏は
次には脆く折れ


夢でしかない
全ては夢の代物
久穏の音すら夢の代物