『星隠しの夜』


蝉と鈴虫の囁きを遠くで耳にして
濃い紫色の空の下で一人時を数える
薄鉛の霧を肺に貯めながら
巡り瞼に重みを動かす
夢の旅先案内は羊と共に貘を
コーヒーには砂糖とミルクを
存在には体と心を
旅には地図と切符を
目を閉じること
それが旅立ちへの合図
誘うのが紫と紺の混じる空
拒むのが雲の欠片を矧いだ烏