アノヒノカゼ


『四月、桜花の下、十年後の再会にて』


桜並木立ち並ぶ
町の大通り
十年ぶりに歩く


思い出の桜
密かにつけた傷
眺め胸を痛めた僕は
もうここにはいない


あの時と変わらぬ声
後ろには
同じく変わった君


「暫く一緒にいないか?」
僕の誘いに
彼女は一諾


道はもう交わらない
知っていたから
僕らは一緒に居たんだ


もう一度
互いにすれ違い


散る桜に
また一度
さよならを込め


幸せを
互いに願う