企画:一日一景


『誰そ彼』


昼過ぎに
影しかない人に出会った
身ぶり手振りで
知り合いらしかったけど
僕には誰だか分からない


駅前歩道の
影達の宴
僕の前では止まらない
止まった側から進んでいく


音の無い世界
光が何も
僕らに伝えなくなった世界


斜陽の刻に
影の持ち主が分かるけど
翳が濃過ぎて
結局誰だか分からない


誰そ彼時は
誰そ彼のまま