Narcissus at Oasis


『仄』


足元に花が咲く
一足ごとに花が咲く
闇に沈んだこの場所で
一足ごとに花が咲く


風が吹く
帽子を飛ばす
帽子は蛍になり
私の道標になる


ひらり
頬をかすめて
花びらが飛ぶ
水仙の花びら


闇に消えた場所から
闇が消えていく
薄らいでいく
ぼんやりと


――やがてこの場所は
生まれ変わった
仄か
母の香りを感じる場所