『砂の盾』(鬼束ちひろ)


僕が真面目に鬼束ちひろを聴いて、始めて好きになった曲です。


ピアノの伴奏を基調に、ゆったりとした雰囲気が歌詞のもの悲しさを引き立てます。ストリングスを基点としたオーケストレーションが、後ろから曲を優しく包んでいきます。


さて、ここまで優しく包むことで引き立つ歌詞とは、いったいどんなものなんでしょうか?
まるで脆く鋭い硝子製のナイフのような、ある種の儚さを含んだ鋭い歌詞なのです。
時々、聴いていて少し、心が痛々しく感じます。


『偽りの栄冠をかばうのは砂の盾』


砂の盾で、一体何が守れると言うのでしょう。砂糖菓子の弾丸では何も撃ち抜けないのと同じように。


『守れる筈もない、このままじゃ』