無音にて


立ち止まりたくなったのは
目の前を過る何かがあって
ふっと手を差し出したくて
そっと腕を伸ばしてみては
小鳥を撫でるように優しく
暖かい歌を口ずさんでみて
仄かに香る悲しみすら全て
押し流してしまえと舞った



そもそも外を歩く事自体が
気紛れに過ぎない事を知る
ただ舞い降りて舞い降りる
氷の粒の行く末も気紛れだ
でもただ抱擁を望んでいて
でもただ高揚を望んでいて
今日もまた一人煉瓦の道を
傘を持たずに両腕広げては


歩いて


歩いて


歌って