2008-03-11から1日間の記事一覧

霧立つ

童の歌が聞こえる かごめかごめをする 稚児の声が 竹林の中で かくれんぼの声 もういいかい/まぁだだよ どこまで探して見つかった? ほんのりと朱が差す頬に 思わず見とれてしまった―― 畑に立つ霧 白き影に映る 懐かしき人 日が照らして消えてしまった 懐か…

一杯

時計を沈めた 清らかな水を 話を肴に 飲み干して 針を回した覚えはないし そもそも回す意味もない 外の闇色に変化はないけど 星の位置、少しずれてない? 時間泥棒は 今も自分の腹の中

闇に月 人と酒

水面に照らしてみたい 天に映る満つる月を その手にしてみたい 狂う時を司るなら そのままでいいじゃないか 人が唯一正気に戻る時なのだから 微睡みの中 夢と夢を行き来していく 幸せは 辛いときから 一線を越えた状態を言うから 闇に月 姿を失って人は 己自…

月の見えぬ夜にさえ

月の見えぬ夜にさえ 断片に光る星がある 数は少ないながらも 懸命に光る星がある その光に照らされて 闇の世界の僕らはいる 「光を目指せ」 まるでそう言いたいかのように

景色のイデア

過去は現在が現在である程 美しく輝く けれど 過去が輝くのは 現在で生じる錯覚 現実逃れの虚像に過ぎない だからこそ 虚像であるからこそ 美しいのだろう イデアがそこにあるから

スタンドバイミー・シンドローム

線路の上から 前を見つめて 直線上で 先を見透せるかを 試してみたくて この先に 目指す場所があると この先に 僕らの家があると 前も後ろも 見透してみたくて 光しか見えなかった 光しか見えなかった 思えば遠くに来たもんだ

田園

水を吸い込んで 生き返る土地 種をくるんで 空へと伸ばせ 雀は啼いて カラスは飛んで 案山子は静かに見守って 健やかに育て 実りを成せと 願うは田の神人の神 雨風と 雷電よ 命を奪うことなかれ

莓畑

黄色の可愛い従業員は せっせせっせと働いている じゃましないでよ いましごとちゅう 遠くに行って欲しいけど お客さん達知らんぷり きにしたらだめだ しごとしごと 近づかなければ何もしない それは互いに同じこと しごとだらけで いそがしい しごとだらけ…

薄ら雲

緑と茜 ベージュの大地から見渡して そよぐ そう見えたのは目の錯覚か 動かないで ただ見つめ続ける 時の過ぎるままに 時代の過ぎるままに もしも この声が聞こえるなら 葉を一枚 僕の手に乗せてくれないか? 過ごした時の証として

デジャヴュ

旧車両の座席に 腰掛けながら肘を付き 移ろいゆく変わらぬ景色に 思わず溜め息を漏らす 僕らはどれだけ変わっていくのか 立ち止まって振り返っても 昔の姿は見えやしなくて あの頃の自分は 何を考えてきた? 求め伸ばした手 何度、振り払われたことか 変わっ…

幾多の畑

幾多の畑 潤すは狭き大河 幾多の畑 潤されるは地の子共 恵む 恵まれる 与え続けるもの 受け取ったものを返すもの ひたすら奪い続けるもの その身を土に還すとき 人は地に返せるのだろう? 幾多の畑 声が聞こえる 帰る場所は用意していると