プネウマの舞踏 (Naan)


『映写機越しに見る世界』


映写機が回る
等間隔でカタカタ刻む
現在を無数に重ねて流す


水彩画の世界
林檎を手に持つ少女
頬を朱に染め


昼過ぎの斜陽間近
槻近くで
待ち人の到来を知る


フェード(暗転)


木の机には紙
5Hの黒鉛筆に定規
書き込まれた無数の軌跡


連なる数字を眺め
ツナギの少年は鼻を擦る
夢への方程を頭に描きながら


フェード(暗転)


青空を眺め
穏やかに過ごす少女
喜々と夢を語る少年


違う時を
同じ場所で共有出来る
それだけで幸せな日々


空は茜から紺へ


同心円で結ばれた星達
あのどれかは僕達だね
語るのはいつも少年から


少女は黙って聞いていた
ただ黙って聞いていた
ただそれだけで――


砂時計は戻らない
思いはいずれ変わるだろう
でも――


切り取られたスライドを
映写機で映して
少年だった男は呟く


この場所にいた事実は
誰にも変えられやしない


空に舞うは飛行機
眺めながら男は抱く
林檎肌の娘を