ギタ雪

ギタリストと雪女 キャラ解説

ネタバレをかなり含みます。出来れば小説読後にお読みいただきますよう。

ギタリストと雪女 解説に代えて

………マイクはここか……、 トントン。 ………よし。 Taja!(←これが挨拶)故問い志望の'猫山優'です。 『ギタリストと雪女』を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。何分管理人、今まで小説を書き上げた事なかったもので………拙い部分もありますが、…

ギタリストと雪女 その26

こうして、俺のアラスカ旅行は終ったわけだが、この後ちょっとした後日談がある。 財布君(仮)にDoomのデモCDを渡した直後、財布君(仮)がかなりの速度で震えだしたので、どうしたのか聞いてみた。 「…………………………………………キタ━━(°∀°)━━!!!!」 あ、なんかぶっ壊れ…

ギタリストと雪女 その25

その後、Doomの面々と朝食、昨晩のサーモンパーティの片付けを行った。ヨールが面倒臭がってさぼろうとしたが、クレン氏がヨールの急所を握り潰そうと脅したため、誰よりも機敏に動いていたのには笑えた。 それにしても………。時が経つのは早いな。もう帰国日…

ギタリストと雪女 その24

翌日。 俺は夜のうちに涙ながらに書き終えたメモを、ヤヨイに渡した。 「………これで以上だ」 「声、大丈夫なの?」 一晩泣き明かした所為で、俺の声は少しかすれていた。まぁ歌を歌うことはないし、暫くしたら治るので、日本に帰ってからの仕事には問題はない…

ギタリストと雪女 その23

二人で丸太小屋から、誰もが寝静まったペンションに、夜空のオーロラに見送られながら戻った後、俺は、夢に見た内容を全て、メモに書き出してみた。母親の見舞いでのこと、長老達の前での親父の会話、その後の長老達の恨み言、親父が出ていく一日前の会話、…

ギタリストと雪女 その22

………何か冷たい感触が額の方にある。視界は、…………まだぼやけている。………にしても暖かいな、ここ。雪原の筈だろ―――? 視界がはっきりとして、ここが雪原でなく、どこかの山小屋であることが分かった。 「気が付いた?」 頭上からヤヨイ氏の声がした。体を動か…

ギタリストと雪女 その21

―――ここまで来れば――― ―――いいえ、もうおしまいです――― ―――………ははっ、だろうな――― ―――私はあの場所には戻れない。あなたも、生きて戻ることは出来ないでしょう――― ―――………皐月――― ―――………――― ―――………皐月、すまん。俺は、戻れない――― ―――………皐月、貴方一人を残…

ギタリストと雪女 その20

人生を常識と言う枠の中に並べて揃えて晒されてきた俺にとって、目の前の光景は、到底信じられるものではなかった。 常識外の発言とか、常識外れの行動とかは毎度のごとく実行してきた俺だが、目の前の光景は、そんな今までの行動が些事に見えてしまうほど、…

ギタリストと雪女 その19

他の奴らが部屋に帰り始める中、俺は食堂で少し考え事をしていた。 何故ヤヨイ氏を見て、母を思い浮かべてしまったのか。 顔立ちが似ているわけでもない。声も、やはり違う。 しかし、何と言うか………背負っている気配が似ていたのだ。儚く、すぐ消えてしまい…

ギタリストと雪女 その18

『お帰りぃ。一体どこほっつき歩いてんだい?外出禁止令まであと三分ほどだよっ!』 いや、後三分どころか日が暮れるまでかなりありそうなんだが………、という反論を俺は必死で解体作業していた。まぁ地元人の常識に口を挟むのは愚かしい事だし、今の声も別に…

ギタリストと雪女 その17

「ぅゎ…………広ぉ………」 はっきり言って圧倒される風景だ。一面の氷の上に、降り積もる雪。氷上なのに車が停まっている。相当な厚さだ。 それと同時に、ある種の懐かしさも感じた。そう、親子で近くのスケートリンクに行った時のような……。………ってもここには流…

ギタリストと雪女 その16

『あンらぁ、珍しぃねぇ。こんな日に、お客さんとは。いらっしゃいま〜せ〜』 お土産店のカウンターにいたのは、年が80を越えていてもおかしくなさそうな老婆だった。 軽く会釈すると、老婆――名札にはキヨラ・キララと書かれている――は、下手したらそのまま…

ギタリストと雪女 その15

「…………」 俺はヴァン氏の話を聞いて、少し疑問に思ったところを尋ねた。 「………その幽霊と言うのは、誰でも残るものなのですか?」 ヴァン氏は少し困った表情を浮かべながら答えた。 『そうですねぇ…………この世においてどうしても伝えたいこと、これだけはやっ…

ギタリストと雪女 その14

『この辺りで一番ポピュラーなのが雪女の話ですが………はい?それは他の人から聞きました?えっと…………それはどなたですか? クレン・クライスさんですか!いゃあ懐かしい…………もうかれこれ二十年前ですよ、彼女がここにいらしたのは………もう一人の子、確か………そ…

ギタリストと雪女 その13

チェーンをつけた車輪で少しばかり走ると、住宅街に出る。さすが雪国と言うべきか、どこの家も二重窓、二重ドアは当たり前だった。それに、 『お〜い!そっちは終ったか〜?』 『まだだ〜!終ったら手伝いに来てくれ〜!』 信号待ちの、車通りが少ない道路を…

ギタリストと雪女 その12

昨日の惨状は………やはりほとんど片付いていなかった。どうやら来たのは俺が最初らしいが………Doomの面子、それにヤヨイ氏は果たしてここに集まるのか? 『おはようちゃ〜ん!』 ………うわ。一番来そうにない奴が来たよ。 「おはよう。………マッキン、お前はどうして…

ギタリストと雪女 その11

(戸を力強く叩き壊す音) ――……霜月っ!?―― ――!治樹さん!?どうしてここに!?―― ――霜月っ!逃げるぞっ!―― ――え、あ、きゃっ!―― ――待てぃ…………咎人よ…………!―― ――我等は貴様を許しはせぬ…………永劫にな!!―― ――咎人にたぶらかされし雪人よ…………貴様も同類じゃ!―― ―…

ギタリストと雪女 その10

『………おとぅさん』 『ん?何だ皐月』 『………おかぁさんは?』 『…………』 『…………おかぁさん、いなくなっちゃったの?』 『…………』 『ねぇ、おとぅさん…………』 『…………』 『おとぅさ』 『畜生っ!』 『…………!?』 『畜生っ!畜生っ!畜生っ!畜生っ!畜生っ!畜生っ!…

ギタリストと雪女 その9

『―――恨めしや、治樹』 『―――恨めしや、霜月』 『我が村の者を誑かし者よ』 『斯様の者に誑かされし者よ』 『―――恨めしや』 『―――恨めしや』 『罪の代償は』 『裏切りの代償は』 『―――命をもって償わせん』 …………ん?どうやらいつの間にか寝ていたらしい。…………

ギタリストと雪女 その8

パパパパパパパパパパパンッ! 『H@ppy Birthd@y 2 U!!!!』 クラッカーが盛大にうち鳴らされ、俺達はもう一人の客、あの女性に叫んだ。主賓である彼女の方はあまり表情の変化が見られないが、幽かに口の端がつり上がっているところから、一応は楽しんではい…

ギタリストと雪女 その7

宿に着いた後、俺は愛用のギターを部屋に置いて、クレン氏の夕飯が出来るまで、部屋でゆっくりと過ごす………筈だったんだが。 『おう。ライブお疲れさん』 ギターを置いた後、突然部屋に入ってきたニクスの挨拶に、俺は驚きながらも「お互いにな」と返す。 『…

ギタリストと雪女 その6

『いやぁ、流石ですね。僕もつい本気を出してしまいましたよ』 「速弾きじゃあんたには勝てないよ、俺は」 腕の痛さで分かる。当分ギター欠乏症は発症しないだろう。………あつつっ。後でちゃんとほぐしとくかな。 『それでは………はい。DoomのデモCDです』 キー…

ギタリストと雪女 その5

バスに再度揺られて一時間。ようやくこいつらの異常なテンション(バス内)にも慣れてきたところで、会場がある町に着いた。………運転手さん、あんたすげぇよ。よく集中できるよこの電車通過のガード下波の騒がしさを誇る乱恥騒ぎの中で。 「…………aaaaaaaaaaaaaN!…

ギタリストと雪女 その4

『いらっしゃい!よくもまぁこんなへんぴな所に来たねぇあっはっはっ』 そのへんぴな所に建てた宿の主、クレン=クライスが豪快に笑う。その姿を見てジャックの顔が少し脱力した様な気がした………これがいつも通りなのか。こいつは家でのテンション維持は大変…

ギタリストと雪女 その3

「Hahahahahaha!」 …………何だ。 「Yeah〜!」 ……………………何なんだこの集団は。 「Tell me why〜〜〜〜♪」 ………………………………何なんだこのラテンなムードは。普通のバスを頼まなかったのかうちの会社は。………訂正。普通のバスと言うより、普通のツアーだな。 俺の中での…

ギタリストと雪女 その2

飛行機に揺られて、どのくらい経っただろうか、なけなしの金をはたいて買ったC-Cho.の腕時計を見ると、まだ発ってから大してかかっていない事が分かる。それなのにこの退屈感。 人間と言うものは不思議なもので、禁止されるとやりたくなってしまうらしい。機…

ギタリストと雪女 その1

小説なぞを書いてみました。 良ければ感想ください。