ギタ雪
ネタバレをかなり含みます。出来れば小説読後にお読みいただきますよう。
………マイクはここか……、 トントン。 ………よし。 Taja!(←これが挨拶)故問い志望の'猫山優'です。 『ギタリストと雪女』を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。何分管理人、今まで小説を書き上げた事なかったもので………拙い部分もありますが、…
こうして、俺のアラスカ旅行は終ったわけだが、この後ちょっとした後日談がある。 財布君(仮)にDoomのデモCDを渡した直後、財布君(仮)がかなりの速度で震えだしたので、どうしたのか聞いてみた。 「…………………………………………キタ━━(°∀°)━━!!!!」 あ、なんかぶっ壊れ…
その後、Doomの面々と朝食、昨晩のサーモンパーティの片付けを行った。ヨールが面倒臭がってさぼろうとしたが、クレン氏がヨールの急所を握り潰そうと脅したため、誰よりも機敏に動いていたのには笑えた。 それにしても………。時が経つのは早いな。もう帰国日…
翌日。 俺は夜のうちに涙ながらに書き終えたメモを、ヤヨイに渡した。 「………これで以上だ」 「声、大丈夫なの?」 一晩泣き明かした所為で、俺の声は少しかすれていた。まぁ歌を歌うことはないし、暫くしたら治るので、日本に帰ってからの仕事には問題はない…
二人で丸太小屋から、誰もが寝静まったペンションに、夜空のオーロラに見送られながら戻った後、俺は、夢に見た内容を全て、メモに書き出してみた。母親の見舞いでのこと、長老達の前での親父の会話、その後の長老達の恨み言、親父が出ていく一日前の会話、…
………何か冷たい感触が額の方にある。視界は、…………まだぼやけている。………にしても暖かいな、ここ。雪原の筈だろ―――? 視界がはっきりとして、ここが雪原でなく、どこかの山小屋であることが分かった。 「気が付いた?」 頭上からヤヨイ氏の声がした。体を動か…
―――ここまで来れば――― ―――いいえ、もうおしまいです――― ―――………ははっ、だろうな――― ―――私はあの場所には戻れない。あなたも、生きて戻ることは出来ないでしょう――― ―――………皐月――― ―――………――― ―――………皐月、すまん。俺は、戻れない――― ―――………皐月、貴方一人を残…
人生を常識と言う枠の中に並べて揃えて晒されてきた俺にとって、目の前の光景は、到底信じられるものではなかった。 常識外の発言とか、常識外れの行動とかは毎度のごとく実行してきた俺だが、目の前の光景は、そんな今までの行動が些事に見えてしまうほど、…
他の奴らが部屋に帰り始める中、俺は食堂で少し考え事をしていた。 何故ヤヨイ氏を見て、母を思い浮かべてしまったのか。 顔立ちが似ているわけでもない。声も、やはり違う。 しかし、何と言うか………背負っている気配が似ていたのだ。儚く、すぐ消えてしまい…
『お帰りぃ。一体どこほっつき歩いてんだい?外出禁止令まであと三分ほどだよっ!』 いや、後三分どころか日が暮れるまでかなりありそうなんだが………、という反論を俺は必死で解体作業していた。まぁ地元人の常識に口を挟むのは愚かしい事だし、今の声も別に…
「ぅゎ…………広ぉ………」 はっきり言って圧倒される風景だ。一面の氷の上に、降り積もる雪。氷上なのに車が停まっている。相当な厚さだ。 それと同時に、ある種の懐かしさも感じた。そう、親子で近くのスケートリンクに行った時のような……。………ってもここには流…
『あンらぁ、珍しぃねぇ。こんな日に、お客さんとは。いらっしゃいま〜せ〜』 お土産店のカウンターにいたのは、年が80を越えていてもおかしくなさそうな老婆だった。 軽く会釈すると、老婆――名札にはキヨラ・キララと書かれている――は、下手したらそのまま…
「…………」 俺はヴァン氏の話を聞いて、少し疑問に思ったところを尋ねた。 「………その幽霊と言うのは、誰でも残るものなのですか?」 ヴァン氏は少し困った表情を浮かべながら答えた。 『そうですねぇ…………この世においてどうしても伝えたいこと、これだけはやっ…
『この辺りで一番ポピュラーなのが雪女の話ですが………はい?それは他の人から聞きました?えっと…………それはどなたですか? クレン・クライスさんですか!いゃあ懐かしい…………もうかれこれ二十年前ですよ、彼女がここにいらしたのは………もう一人の子、確か………そ…
チェーンをつけた車輪で少しばかり走ると、住宅街に出る。さすが雪国と言うべきか、どこの家も二重窓、二重ドアは当たり前だった。それに、 『お〜い!そっちは終ったか〜?』 『まだだ〜!終ったら手伝いに来てくれ〜!』 信号待ちの、車通りが少ない道路を…
昨日の惨状は………やはりほとんど片付いていなかった。どうやら来たのは俺が最初らしいが………Doomの面子、それにヤヨイ氏は果たしてここに集まるのか? 『おはようちゃ〜ん!』 ………うわ。一番来そうにない奴が来たよ。 「おはよう。………マッキン、お前はどうして…
(戸を力強く叩き壊す音) ――……霜月っ!?―― ――!治樹さん!?どうしてここに!?―― ――霜月っ!逃げるぞっ!―― ――え、あ、きゃっ!―― ――待てぃ…………咎人よ…………!―― ――我等は貴様を許しはせぬ…………永劫にな!!―― ――咎人にたぶらかされし雪人よ…………貴様も同類じゃ!―― ―…
『………おとぅさん』 『ん?何だ皐月』 『………おかぁさんは?』 『…………』 『…………おかぁさん、いなくなっちゃったの?』 『…………』 『ねぇ、おとぅさん…………』 『…………』 『おとぅさ』 『畜生っ!』 『…………!?』 『畜生っ!畜生っ!畜生っ!畜生っ!畜生っ!畜生っ!…
『―――恨めしや、治樹』 『―――恨めしや、霜月』 『我が村の者を誑かし者よ』 『斯様の者に誑かされし者よ』 『―――恨めしや』 『―――恨めしや』 『罪の代償は』 『裏切りの代償は』 『―――命をもって償わせん』 …………ん?どうやらいつの間にか寝ていたらしい。…………
パパパパパパパパパパパンッ! 『H@ppy Birthd@y 2 U!!!!』 クラッカーが盛大にうち鳴らされ、俺達はもう一人の客、あの女性に叫んだ。主賓である彼女の方はあまり表情の変化が見られないが、幽かに口の端がつり上がっているところから、一応は楽しんではい…
宿に着いた後、俺は愛用のギターを部屋に置いて、クレン氏の夕飯が出来るまで、部屋でゆっくりと過ごす………筈だったんだが。 『おう。ライブお疲れさん』 ギターを置いた後、突然部屋に入ってきたニクスの挨拶に、俺は驚きながらも「お互いにな」と返す。 『…
『いやぁ、流石ですね。僕もつい本気を出してしまいましたよ』 「速弾きじゃあんたには勝てないよ、俺は」 腕の痛さで分かる。当分ギター欠乏症は発症しないだろう。………あつつっ。後でちゃんとほぐしとくかな。 『それでは………はい。DoomのデモCDです』 キー…
バスに再度揺られて一時間。ようやくこいつらの異常なテンション(バス内)にも慣れてきたところで、会場がある町に着いた。………運転手さん、あんたすげぇよ。よく集中できるよこの電車通過のガード下波の騒がしさを誇る乱恥騒ぎの中で。 「…………aaaaaaaaaaaaaN!…
『いらっしゃい!よくもまぁこんなへんぴな所に来たねぇあっはっはっ』 そのへんぴな所に建てた宿の主、クレン=クライスが豪快に笑う。その姿を見てジャックの顔が少し脱力した様な気がした………これがいつも通りなのか。こいつは家でのテンション維持は大変…
「Hahahahahaha!」 …………何だ。 「Yeah〜!」 ……………………何なんだこの集団は。 「Tell me why〜〜〜〜♪」 ………………………………何なんだこのラテンなムードは。普通のバスを頼まなかったのかうちの会社は。………訂正。普通のバスと言うより、普通のツアーだな。 俺の中での…
飛行機に揺られて、どのくらい経っただろうか、なけなしの金をはたいて買ったC-Cho.の腕時計を見ると、まだ発ってから大してかかっていない事が分かる。それなのにこの退屈感。 人間と言うものは不思議なもので、禁止されるとやりたくなってしまうらしい。機…
小説なぞを書いてみました。 良ければ感想ください。