秋風、蝉の声

誰もいないホーム 時を知る術もなく 曇り空は 槍の落とし場所を定めつつ 流されて 遠く来たこの地でも さして何処と変わる筈もなく 楽しみを得るには 雲に昇る必要がありそうだ 些事に囚われ 盲目となった僕の目に 何の感傷も湧く筈もない 閉じた耳世界から …

ストレイトパレット

絵の具垂らした刷毛を そのまま振り上げてみよう 浮かんで珠 落ちて円 イロナシの顔は 幾つもの色に染まる 笑顔でどこまでも 振り回して振り回して 纏まり無くて 固まり無くて バラバラで でも一つ パレットはぐちゃぐちゃで でも何かを伝えたくて ――それは…

『星隠しの夜』

蝉と鈴虫の囁きを遠くで耳にして 濃い紫色の空の下で一人時を数える 薄鉛の霧を肺に貯めながら 巡り瞼に重みを動かす 夢の旅先案内は羊と共に貘を コーヒーには砂糖とミルクを 存在には体と心を 旅には地図と切符を 目を閉じること それが旅立ちへの合図 誘…

ちぎり

「旅立つ時に必要ない物は 残らず捨ててしまえばいい」 そうして君は旅を捨てた その両足を切り捨てて 外した鎖の跡が痛む 仄かに赤くそして薄暗く 痣は僕を見つめてる 闇の中でも見つめてる 千切られた腕 足の代わりに このままずっと離さないと 指の先 押…

翼持つ隣人に捧げる

雲の狭間を 翼持つ隣人が 咳き込みながら飛ぶ姿 思わず目を伏せた 涙が出た 謝りたかった ごめんなさいごめんなさい 血で汚れが消えるのなら 灰で清められるのなら 胸元から溢れ出すそれを 上昇気流に乗せてばら蒔いて 残った僕の亡骸を そのまま焼いてしま…

『電線綱渡り』

半月に掴まって 星と自由に戯れながら 逆さま重力を ピアノ線で再現してみた 電灯を全て割るのと 電線を一ヶ所切るのと どちらが真っ暗になるのが 早いかななんて お茶目を考えて浮遊 らんららんららん 落ちたら空へ らんららんららん 落ちたら空へゴー 火消…

『羽根付き靴で空を駆る幻想』

夢が夢であるように 羽根付きの靴で星空を駆る 重力なんて意味の無い ふわふわ雲に捕まって ゆらりゆらりと浮かんでいよう 月の欠片を取ったなら そのまま地面に投げつけて きっと誰かが拾ってくれる きっと誰かが探してくれる 背中に羽根が生えること 頭に…

disastar

ゴシック調の色彩が 世界を覆っていくように 切り絵にも似た風景が 今いる場所を変えていく 破り捨てようと伸ばしたものは 十三回も切り刻まれて 地も肉も骨も分からぬままに 地面の供物となり果てた 拒絶をしたのはどちらから? 目の無い人形(ドール)はケタ…

雨の色

雨の色を教えてほしい ガラス越しだと 何色にも見えないから 愛の在処を教えてほしい ガラス越しだと 何処にも見つからないから

ゆっくりしていってね!!

左岸 沿線上 垂直世界に平行移動 謳歌 欧化 桜華 是認主義者の否定観測 ゆっくりした結果は これと定まるわけではなくて 望み失せた事実だけが 有害電波で先回り 是 是 是 否 否 否 最果てbe lovin' 労いの均衡点 立つ瀬 遣る瀬 上着脱ぎ捨てて涼風 タミフル…

狐が愛を交わす その一瞬に 大地に恵み

星の名前をつけてみよう

一番星にはピッカリン 二番星にはキラキラン 三番星にはテカルトス 四番星にはサラリノン 星の名前をつけてみよう 自分勝手につけてみよう 流れ星が落とした欠片 手にして空に投げ捨てた キラリ輝く一瞬に 星の名前をつけてみよう 自分勝手につけてみよう

『叫んだ』

水の中で叫んだ 叫び声は泡となって 水に溶けて消えた 町の中で叫んだ 沢山のノイズの一つとなって 誰にも届かなかった 山の中で叫んだ 響く筈の声は 雷鳴に重なって消えた どれだけ叫んだって 僕の声は届かなかった 届かなかったんだったら ―――――――――――――― …

偶像連呼

創価創価そうか創価そうか 創価そうかそうか創価そうか 創価そうか創価創価そうか そうか創価そうかそうか創価 猿真似Bored 犬振る尻尾を剥いで神棚に飾ろうか 犬振る尻尾を剥いで火を付けて走ろうか 聖なる火のお通りだ 創価創価そうか創価そうか 創価そう…

三両電車

遠景で 三両電車 畑道を走っていくよ 山道へと走っていくよ 畑と畑の間に 大きなホテル 大きなホテル 三両電車は 走っていくよ 畑道を走っていくよ 山道を走っていくよ 木々が萌える 出迎える 電線を 電線を繋いで 三両電車

Broken Stars

満天の星 凶星が満つる星 恋 故意に破れ 乞うものは平穏 闇空に 耳を澄まして 聞いてみると 聞こえてくるものは嘆き どこまでも 響き続ける嘆き 破れた心は 赤き地雷となる

橙火の山道

空の輝きはトワイライト 濃灰に染まるハイウェイ 橙の灯は導き手 行き交う蛍光は 何処を目指していくのだろう 何処を目指していくのだろう インディゴからディープパープル 綿雲のアッシュグレイ 赤色の炎の残影 尾を曳いて逝く魂は 何処を目指していくのだ…

蜉蝣

蜉蝣は 私の手の上で 留まることを知らずに 飛び続ける 身を捧げる相手を探すために 飛び続ける 9 6 2 5 4 8 1 7 3光の粉を時に変えて 輝いたまま飛び続ける 時の輪の中で 与えられた使命と 己の望みのままに 時の輪から外れた僕らは その様をただ眺めるだけ…

駱駝の船

面舵 駱駝の船 月光の降る夜の幽霊船 曲がり角から何を伝えて ホライズンに逆光 浮き鯨の重低音 二重虹の再現に 今日も余念がないらしくて 破れたマストを張り直して 帆無し舟はどこへ行こう 梶無し船はどちらへ行こう 潮の流れに身を任せてみて ランプ・蝋…

Peaceful Imitation

Bestじゃない。 Goodじゃない。 Badだけれど、 Worstじゃない。 外れて見えるのは錯覚で、 僕らはいつもその上にいる。 外れて見えるのは幻覚で、 影はいつも手を伸ばしている。 レジスタンスの真似事を、 大袈裟に電波に乗せて。

『遮断機』

放射状に広がる道路を 一纏めに束ねるように 線路が通る かぁん、かん、かぁん 足止めに舌打ちする 鉄の塊を尻目に 鉄の蛇は線路の上を滑っていく 先に見える風景を 覆い隠しながら

flowin'(未完成)

夢の三番沿いに 宙に浮いた足でお散歩 背に映る万華鏡 見てはいけないよ 見たら連れ去られてしまうから

笛吹きの声で

ボロボロの人形が 今一度動き出す 薇を 逆向きに巻いてね ほら カーニバルの始まりだよ 意識が砂に落ちる前の 最後の輝き 懐かしさを小石に託して 子供の手に委ねようか

ノスタル描き写し

誰もいない学校。 窓から見える教室は、 机が逆さまに並べられていた。 桜の花びら、幾束。 ピアノが聞こえてきそうな学校を、 ピアノの音を聴きながら歩く。 01上に記された、 過去の音を。 桜の花びら、幾束。 春一番はもう吹いた。 春二番ももう吹いた。 …

燕を横切る桜並木を眺めて

満開の桜並木に ゆっくりと身投げしてみたい 花弁が体を 精一杯押してくれる気がするから 目の前が見えなくなるほどの 一杯の花弁を 五体の全てで受け止めたい はぐれた迷子の花弁も 地球に比べると 余りに小さい掌で そっと ぎゅっと

empty

黒塗りの車 黄緑のビラ 叫び声はいつも 雑音にしか聞こえなくて 何に憂いているのだろう 何に怒っているのだろう 憂いることが多すぎて 怒れることが多すぎて 遥かに遠すぎる 人と人の互いの距離 遠ざけた戦犯は 被害者面して叫ぶだけ 心で笑って顔では泣い…

超新星

渦に巻き込んで! そのまま振り回して! 息の続く限り! 体の続く限り! 叫ぶ声の衝動のままに! 両腕を大きく伸ばして! 肩から外れそうな程に! あらゆる目に映るもの! あらゆる瞳に映らぬもの! 全てを受け入れるように! ――やがて体は光を纏い 蒼空を割…

内なる魔獣

体に巣食う魔獣が 僕の皮を被って 外に出ようとしているなら 僕はその魔獣を喰らい そのまま生き延びてやる 自分でなくなるのなら それは構わない 自分が変わるのなら それはそれで構わない でも自分が無くなるのは嫌だ 自分が消えるのは嫌だ 内なる魔獣が …

霧立つ

童の歌が聞こえる かごめかごめをする 稚児の声が 竹林の中で かくれんぼの声 もういいかい/まぁだだよ どこまで探して見つかった? ほんのりと朱が差す頬に 思わず見とれてしまった―― 畑に立つ霧 白き影に映る 懐かしき人 日が照らして消えてしまった 懐か…

一杯

時計を沈めた 清らかな水を 話を肴に 飲み干して 針を回した覚えはないし そもそも回す意味もない 外の闇色に変化はないけど 星の位置、少しずれてない? 時間泥棒は 今も自分の腹の中