闇に月 人と酒

水面に照らしてみたい 天に映る満つる月を その手にしてみたい 狂う時を司るなら そのままでいいじゃないか 人が唯一正気に戻る時なのだから 微睡みの中 夢と夢を行き来していく 幸せは 辛いときから 一線を越えた状態を言うから 闇に月 姿を失って人は 己自…

月の見えぬ夜にさえ

月の見えぬ夜にさえ 断片に光る星がある 数は少ないながらも 懸命に光る星がある その光に照らされて 闇の世界の僕らはいる 「光を目指せ」 まるでそう言いたいかのように

景色のイデア

過去は現在が現在である程 美しく輝く けれど 過去が輝くのは 現在で生じる錯覚 現実逃れの虚像に過ぎない だからこそ 虚像であるからこそ 美しいのだろう イデアがそこにあるから

スタンドバイミー・シンドローム

線路の上から 前を見つめて 直線上で 先を見透せるかを 試してみたくて この先に 目指す場所があると この先に 僕らの家があると 前も後ろも 見透してみたくて 光しか見えなかった 光しか見えなかった 思えば遠くに来たもんだ

田園

水を吸い込んで 生き返る土地 種をくるんで 空へと伸ばせ 雀は啼いて カラスは飛んで 案山子は静かに見守って 健やかに育て 実りを成せと 願うは田の神人の神 雨風と 雷電よ 命を奪うことなかれ

莓畑

黄色の可愛い従業員は せっせせっせと働いている じゃましないでよ いましごとちゅう 遠くに行って欲しいけど お客さん達知らんぷり きにしたらだめだ しごとしごと 近づかなければ何もしない それは互いに同じこと しごとだらけで いそがしい しごとだらけ…

薄ら雲

緑と茜 ベージュの大地から見渡して そよぐ そう見えたのは目の錯覚か 動かないで ただ見つめ続ける 時の過ぎるままに 時代の過ぎるままに もしも この声が聞こえるなら 葉を一枚 僕の手に乗せてくれないか? 過ごした時の証として

デジャヴュ

旧車両の座席に 腰掛けながら肘を付き 移ろいゆく変わらぬ景色に 思わず溜め息を漏らす 僕らはどれだけ変わっていくのか 立ち止まって振り返っても 昔の姿は見えやしなくて あの頃の自分は 何を考えてきた? 求め伸ばした手 何度、振り払われたことか 変わっ…

幾多の畑

幾多の畑 潤すは狭き大河 幾多の畑 潤されるは地の子共 恵む 恵まれる 与え続けるもの 受け取ったものを返すもの ひたすら奪い続けるもの その身を土に還すとき 人は地に返せるのだろう? 幾多の畑 声が聞こえる 帰る場所は用意していると

Forever

羽よ 天より地に堕ちし 光の羽よ 風の導くままに舞い上がりて 今一度天に還らん事を 肉の軛を棄て 時の輪を離れ 常しえの生を授からんことを 願わん 時は満ちたのだ 願わくば 移ろい逝く世界を巡る 外環にて送る命が 幸せに満ち足りたもので 在らんことを 願…

歌唄い

歌唄いは太陽を謡った 輝き恵みを与えるものと 照りつけ災いを為すものと 歌唄いは月を謡った 静厳なる美を持つものと 漠搦たる狂気を抱くものと 歌唄いは星を謡った 幾億の無比の宝石と 幾億の無価値な我楽多と 歌唄いは国を謡った 人を加護する巨大な家と …

空想絵part.2

誰かが抱く抽象論議 具体の快刀、意味すら為さず 掌に刻む雨色の過去 煤けた穂先を濡らすばかりで 支点を何処に定めるか? 力は何処に加えるか? 意識の前の論争に 結果論すら決まる筈もなく

Edge in Shadow

無数の光の断片が 紡いだのは過去と未来の軌跡 それらは幾筋に分かれながらも 我等の体を背から貫き 先へ、未来へと抜ける 留まることを望んではいけない 朽ち果てた肉体と 腐り果てた妄執に 取り憑かれる事になる

Hug&Suck

思うままに捕らえ囚わせて 放したくない離したくない 腕の力が緩む前に 懸けるのは首輪 逃がすことだけを恐れて 朝顔のように首に腕を回す 留めておきたい印をつけに 牙で抉る もう逃げてしまわないように 逃げる気すら起こさせないように

Time Tricker

時系列の直線上に 僕は今でも立っていた 未来は霧先、見通し悪く 過去は闇色、飲み込むだけで どこに僕は立つのか 足元の目盛は?のままで 背中に張り付く闇 未来から射す筈の光 貫かれた体に潜む 累積カルマ 愛しげに自分を 抱き締めてみる振りをする 愛あ…

無音にて

立ち止まりたくなったのは 目の前を過る何かがあって ふっと手を差し出したくて そっと腕を伸ばしてみては 小鳥を撫でるように優しく 暖かい歌を口ずさんでみて 仄かに香る悲しみすら全て 押し流してしまえと舞った 雪 そもそも外を歩く事自体が 気紛れに過…

Blood(グロ注意!)

額から流れた血が 青い唇に落ちる頃 自分の温もりを知るのだろう? 冷めた息だけ それが彼に与えたもの それが私に与えられたもの 抱きついたそのままに 左胸に腕を食い込ませて 心の臟を取り替えましょう? 差し替えの効く命のままに 糸を意図を 差し替えの…

中立

中立という絵を描いてみた やじろべえを 平均台に乗せてみた 通りがかりの鴉の子供 さもおかしげに呟いた 「それのどこが中立だ?」 何度書き直して 何度精密に 書き直しても 「話にならないね」 鴉の子供は 羽を残して飛び立った 白の画用紙 一枚持ち去って…

願い続ける

凪いだ また嵐が つむじ風と あの人を連れ 遠く遠くへ 去る前に 誰かが 繋ぎ 止めて 留めてよ お願い事は 星に還す言霊 だからこそ 私の元に 戻れと また 今日も 私はまた 願い続ける

反リアリズム

雨。 翳して雪に変わるなら。 夢だけはこのまま。 人が溶けていく。 交差線上の幹の下。 絶唱を抱いた烏。 牧の葉。 鈴が鳴る。 揺らいだ。 波立つ木陰。 白黒反転してここはどこ。 ボーダーはとうに過ぎたの。 裂いた腹を誰にあげるの。 噛みついた腕はいつ…

セカイノハザマ

パラレル割って 飛び越えて 爪突きそうな程 スレスレでないと 狭間に飲まれてしまう 戻りたくないなら その右腕を切り落として 光と闇と炎と水と風と土が 入り交じる領域(ところ)に 残りを投げ込むの 肉片など 纏っていたら この先には進めない 下らぬ未練な…

猫と気球

気球は空へ ふわふわ上がるよ バスケットには 猫を乗せて 怖がらなくていいよ 返ることはないから 恐る恐る 覗き込んだ世界 前足一つ 前足二つ さぁ!顔を出して 籠の猫は外を眺めて みんなの事も 僕の事すら 忘れそうな 広がる碧景色 背負うつもりはあるの…

雪花

仄雪は 深々 降り積もる すべての音を その身に受け入れて すべての悪意を すべての善意を 見るも憐れな儚き意思も そして紅に 染まった未来を 桃色に変えて 桜花と共に 再び散る

常夜幻想

抱いた命が ガラクタだと知らずに 今日も僕等は ガラクタを抱き続ける 奪われないように 壊されないように 必死になって 只のガラクタを 見えるものは全て 光の創る虚像 誰かは気付いたの? いつの間にか消えた人達は 追いすがるように 事切れた影達は

かちなし

全ての不要物を 掻き集めたら 僕が出来た 全ての不要物を 掻き集めたら 君が出来た 全ての不要物を 掻き集めたら 誰かが出来た 全ての不要物を 掻き集めたら 皆が出来た 皆が出来ていた 僕等を捨てた存在は 一体何になったのだろう?

コクーン

血が滲むほどに 歪んだ刃握り締め 切り裂かれたギザギザを 一つ一つ捲って剥がしていく ここから僕は生まれ変わる 人の殻を捨てながら 肉の欠片だけ 口の中に放り込んで ただひたすら噛み締める 味を求めても意味はない ここから僕は生まれ変わる 新たなる次…

ごめんなさい

口に出す度、弱くなる 口に出す度、弱くなる いくら思いを、詰め込んで いくら憂いを、詰め込んで 引きずり晒した、己の心 それでも足りぬ、反省は 口に出す度、弱くなる 口に出す度、弱くなる 涙など、意味を為さない 偽りは、いつでも側に 口に出す度、弱…

助けを求める手 求めることを忘れて 溺れていく ただ溺れていく 自分に 自分の過去に 自分と言う事象に 闇緑の触手 不気味にぬめらせ 深淵の涯へと 誰も届かぬ 何も聞こえぬ 涯へと

懺悔

虚ろにも 唱えたのは 呪咀にも 怒りにもならぬ言葉 ただ 『ごめんなさい』と 誠意の欠片も 感じないのでしょう? 心の欠片も 感じないのでしょう? 呟けど 呟けど 誰も味方はいない 逃げたのは自分 周りに敵しかいない つくったのは自分 自分すら敵でしかな…

踏韻練習4

楽園 空想 首枷 カスラ 烙印 返答 無理だぜ罰は あさきゆめみし 召しませ福を 細(ささ)き故に施(し) 蛇は下服を士気興じ来て 優待満腹 四季童子見て 崇拝感服 嗚呼変用から 曲がれる性(さが)に しゃあ専用から 剥がれる赫に 菊覚え母(はは) 平時(へいじ)とな…